介護BCPの研修・訓練は年何回?記録の残し方

結論:サービス類型によって年1回以上または年2回以上

介護BCPの研修・訓練回数は、施設系サービス(特別養護老人ホーム・老健・介護医療院等)は年2回以上、短期入所系サービスは年1回以上が実務上の基準とされています。

根拠となる運営基準省令は「定期的に実施」と定めるのみですが、解釈通知(老企第25号)では「定期的(年1回以上)」と明示されており、施設系については名古屋市が公開する資料でも年2回以上が示されています。

2025年4月1日からは、BCPを策定していない事業所への減算が経過措置なしで適用されています。研修・訓練の実施と記録の整備は、減算リスクを避けるうえで重要な取り組みです。

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介護BCPの義務化と減算の概要

義務化の経緯

BCP(業務継続計画)の策定は、2024年度介護報酬改定に伴い全サービス事業所に義務付けられました(居宅療養管理指導・特定福祉用具販売を除く)。未策定事業所への減算は経過措置として猶予されていましたが、2025年3月31日をもって経過措置が終了し、2025年4月1日から減算が適用されています。

出典:厚労省「令和6年度介護報酬改定について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38790.html)

減算幅

サービス区分減算幅
施設・居住系サービス所定単位数の100分の3に相当する単位数を減算
その他のサービス所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算

出典:厚労省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」p.49(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf)

BCPを策定しているだけでなく、研修・訓練を実施し、その記録を適切に保管していることが、指定権者への体制届において「基準型」として認められる条件となります。未届・不備がある場合は減算型として扱われるおそれがあるため、記録の整備は策定と同様に重要です。


研修・訓練の年間回数

法令上の規定

運営基準省令(例:平成11年厚生省令第37号第30条の2等)は「定期的に実施」と定めるのみで、具体的な回数は省令本文には明記されていません。ただし、解釈通知(老企第25号)において「定期的(年1回以上)」と明示されています。

出典:老企第25号(https://hourei.roken.or.jp/detail.php?uid=19)

サービス類型別の実務基準

サービス類型研修訓練
施設系(特養・老健・介護医療院等)年2回以上年2回以上
短期入所系年1回以上年1回以上
その他のサービス年1回以上年1回以上

上記は名古屋市が公開する資料(https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/_files/00106177/kennsyukaisuu.pdf)で確認できる実務基準です。自治体によって運用が異なる場合があるため、所轄の指定権者(都道府県・市区町村)への確認をあわせてお勧めします。

感染症BCPと自然災害BCPの違い

感染症BCPと自然災害BCPで研修・訓練の回数区分が異なるという規定は、現時点で確認できていません。いずれのBCPについても、上記のサービス類型別の回数を目安に計画を立てることが実務上の対応として考えられます。


研修と訓練の違い

BCPにおける「研修」と「訓練」は、目的と形式が異なります。

研修は、職員がBCPの内容・手順・役割分担を理解するための学習活動です。座学・資料配布・eラーニング等の形式が含まれます。新入職員への周知や、BCP改訂後の内容共有も研修に該当します。

訓練は、実際の緊急事態を想定して手順を実践的に確認する活動です。机上訓練(テーブルトップ演習)や実地訓練(避難誘導・安否確認等)が含まれます。訓練を通じて手順の課題を発見し、BCPの改善につなげることが目的です。

両者を組み合わせて年間計画に組み込むことで、職員の理解と実践力を高めることが期待できます。


BCPの見直し頻度

BCPの見直し頻度について、省令・通知に具体的な回数を定めた規定は確認できていません。運営基準(平成11年厚生省令第37号第30条の2等)は「定期的に見直しを行い、必要に応じて変更する」と定めるのみです。

出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999404&dataType=0&pageNo=1)、老企第25号(https://hourei.roken.or.jp/detail.php?uid=19)

実務上は、訓練後の振り返りや、組織体制・設備・連絡先の変更が生じたタイミングで見直しを行うことが適切と考えられます。「定期的な見直し」と「状況変化時の変更」の両方が求められている点を踏まえ、年間スケジュールに見直しの機会を組み込んでおくとよいでしょう。


記録の残し方

残すべき記録の種類

研修・訓練を実施しても、記録が残っていなければ指定権者への説明が難しくなります。以下の記録を整備しておくことが望ましいとされています。

  • 研修記録:実施日、参加者名、研修内容(テーマ・資料名)、実施者名
  • 訓練記録:実施日、参加者名、訓練の種別(机上・実地)、想定シナリオ、実施結果の概要
  • 振り返り・改善記録:訓練後に発見した課題、BCPへの反映内容、反映日

記録の形式

記録の形式は法令で特定の様式が定められているわけではありませんが、指定権者が様式を公開している場合はそれに従うことが望ましいです。様式はサービス種別・自治体によって異なるため、所轄の指定権者サイトを確認してください。

保管のポイント

  • 紙・電子データいずれも可ですが、指定権者の実地指導時に提示できる状態で保管します。
  • 参加者のサインや押印を求める自治体もあるため、指定権者の指示に従ってください。
  • 過去の記録を年度ごとにまとめておくと、体制届の更新時や実地指導時にスムーズに対応できます。

想定例:施設系サービスの年間スケジュール

以下は、特別養護老人ホームを想定した年間スケジュールの例です(架空の想定例です)。

時期内容
4月新入職員向けBCP研修(感染症・自然災害)
6月机上訓練(感染症BCP:クラスター発生シナリオ)
9月実地訓練(自然災害BCP:避難誘導・安否確認)
10月訓練振り返り・BCP見直し
12月全職員向けBCP研修(改訂内容の共有)
2月机上訓練(自然災害BCP:業務継続シナリオ)

この想定例では、研修・訓練をそれぞれ年2回以上確保しており、施設系サービスの実務基準を満たす構成となっています。実際のスケジュールは、事業所の規模・体制・所轄指定権者の指導内容に応じて調整してください。


体制届と減算を避けるための確認事項

BCPを策定・研修・訓練を実施していても、指定権者への体制届が「基準型」として受理されていなければ、減算型として扱われるおそれがあります。

確認すべき事項は以下のとおりです。

  • BCPが感染症・自然災害の両方について策定されているか
  • 研修・訓練の記録が整備されているか
  • 体制届の様式・提出先・提出時期が所轄指定権者の指示に沿っているか
  • 届出内容に変更が生じた場合に変更届を提出しているか

様式や提出方法はサービス種別・自治体によって異なります。所轄の指定権者サイトを確認するか、直接問い合わせることをお勧めします。

自事業所の減算リスクを確認したい方は、減算診断(/#diagnosis)をご活用ください。


まとめ

  • 介護BCPの研修・訓練回数は、施設系サービスで年2回以上、短期入所・その他サービスで年1回以上が実務基準です。
  • 省令は「定期的に実施」と定め、解釈通知(老企第25号)で「年1回以上」と明示されています。
  • BCPの見直し頻度に具体的な回数の規定はなく、「定期的な見直し」と「状況変化時の変更」が求められています。
  • 研修・訓練の記録(実施日・参加者・内容・振り返り)を整備し、指定権者への体制届を適切に行うことが減算リスクの軽減につながります。
  • 2025年4月1日から減算の経過措置は終了しています。

介護BCPに関する全体像は、介護BCP完全ガイド(/blog/complete-guide/)もあわせてご参照ください。


著者:丸岡 峻著者プロフィール) 元京都市消防局13年・現役防災士(日本防災士機構認定)・消防設備士・危険物取扱者


本記事はトドケデ編集部(MeHer株式会社)が作成した一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な対応については、所轄の指定権者または専門家にご相談ください。